忍者ブログ
きになるひとものの仮置き小屋
[32] [31] [30] [29] [28] [27] [26] [25] [24] [23] [22]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



http://yaplog.jp/muro-kumano/category_5/
1、土國軍艦遭難記念碑御臨港幸

 光栄の第三日はいや朗らかに明け渡れば、東天瑞雲たなびきて、海面を渡る朝風いとも心地よく、今日を御名残と海岸さして集いよる民草は底ひも知れぬ皇恩に讃仰の涙を覚ゆるのみであった。
 
 この日午前八時といふに、陛下には早くも供奉員を従へさせられて御召艦上に出御、供奉、御警衛の各艦から選抜せられた海兵、及び大井乗組の海軍兵学校生徒等のカッターレースを、御興深く天覧あり、特別の御思召を以て乗組員全部と祈念御撮影の後、午前十時御召艦に御移乗、二隻の供奉艇を従へさせ給い樫野崎を発御あらせられた。

 御召艦は小波を蹴って午前十時十五分、樫野中之浦桟橋に着御、侍従長、海相、侍従武官長以下諸員を従へさせられて御上陸、桟橋南方に諸列奉迎せる、野手知事以下縣係員並びに新聞記者等六十余名及び、稍〃進ませられては樫野浦海岸に跪座奉拜せる、約貳千の村民に御曾釋を賜いつヽ、勾配急なる山峡の坂道を畏くも御徒歩にて進ませ給ひ、午前十時三十分日土貿易協會理事長山田寅次郎以下役員四名奉迎裡にトルコ軍艦遭難記念碑前に御着き遊ばされた。

 樫野崎の東岸脚下百数十尺の断崖に、激しては雪と碎くる狂瀾千古の恨を傅へ、點々たる野花一片の哀愁をそヽる處約五十坪の芝生に立てられた碑に向はせられて、御擧手の御曾釋を賜ひ、異郷の藻屑と消えたる土國使節オスマンパシャ以下五百八十一名の英霊を弔はせ給ひ、今日は海波も静かなる大洋を御眺望、御感慨深き御気色に拜せられた。
PR


カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ブログ内検索
バーコード
忍者ブログ [PR]